ちょっと面白い縫製業界のお話〜まち針を使わずに縫う!?〜

以前の記事↓でも少し触れたのですが、『縫製業』の中でも、あまり『まち針』を使わない分野があります。

ハンドメイド本の型紙を写す時のポイント④
(前回の記事③はコチラから↓) さて今回の記事の本題に入る前に、補足説明をしておきたいと思います。 私は元々、既製服の縫製業に就いていました。 ちなみに既製服というのは皆さんが普段着ている、大量生産された衣料品のことです。 簡単に説明すると...

『縫製業』と一口に言っても、色々な種類がありまして、

•お客様に合わせた仕立てをする『注文服』縫製

•大量生産をする『既製服』縫製

•既製服の見本となる服を作る『サンプル縫製』

•洋服などのお直し(リフォーム)、作り変え(リメイク)、補修(リペア)

他にもカーテン縫製など、様々です。

今まで私が勤めていたのは、『既製服』の分野になります。

少人数なので、大量生産とは言えないかもしれませんが、

最低でも20〜30枚位は同じ型のものを、分担して作り上げていくスタイルです。

注文服程の緻密さは求められませんが、綺麗な仕上がり➕スピードを求められるのが、この世界です。

聞いた事があるかもしれませんが、この分野では、まち針は、ほぼ使いません。

刺す手間、外す手間で時間が掛かるためと、針が商品に混入するリスクを少なくするためです。

特に、針混入の注意喚起は、縫製業全体でかなり強く言われています。

一本の針が原因で、会社が潰れたという話は本当の事らしいです…(´Д` )

なので、どうしても使う時は、鈴付きのまち針を使ったりしていました。

ご自分で販売用のハンドメイドをされる方は、特に使う前の本数と、使い終わった後の本数を確認する事をオススメします。

または、手芸クリップを使うのが良いですよね(°▽°)

ちなみに注文服、衣類リフォーム分野では(鈴付き)まち針を使う事が多いようです。

以前、既製服縫製の先輩に聞いた話ですが、

注文服縫製で長年働いていた方が、既製服縫製に転職してきた時、

まち針を使わない縫製がどうしても出来なくて、辞めてしまったという事があったそうです…。

また、これは余談なのですが、

以前リフォーム業に就いていた時の先輩は、『洋服作りと洋服直しは違う。

作れるからって直しが簡単に出来る訳じゃ無い。直しは作りの逆回転だから、作るより技術が必要なのよ』( ̄(工) ̄)って言ってました。(苦笑)

つまり、同じ縫製業でも分野ごとに技術が異なるので(分野ごとの矜持もあり)難しくもあり、

一方で学びがいのある面白い業界だと思います。

そして、まち針関連話の余談をもう一つ。

私が専門学校を卒業して、まだ縫製業に就いていなかった頃、

婦人既製服縫製の国家試験の中級というのを個人的に東京まで受けにいきました。

(ちなみにこの時の中級受験者は私だけ)

実技試験では、あらかじめ決められた型のワンピース2着を時間内に作るというものでしたが、

袖付けをミシンで行う際、当然のようにまち針を留めていた私を見て、

試験官の女性が『えぇ⁉︎まち針使うの⁉︎』∑(゚Д゚)って驚いて思わず声に出しちゃってました(笑)

当時は、まち針を使わずに縫うことが出来るということすら、知りませんでした(^_^;)

そしてその試験、最後ほんの少しだけ(作業として1分以内だったと思いますが)課題が間に合わず…

前述の、声出ちゃった女性試験官さんがこっそりと

『後ちょっとだから、早く終わらせて』と言って、最後まで縫い終わらせて下さったのでした…(´ω`)

本当にあの時はお世話になりまして、無事合格すること事が出来ました。m(._.)m

そして、そのお陰もあって?今ではまち針無しで袖付けも出来ております( ´∀`)

そんなこともあり、次回記事から『まち針を使わない縫い方』をご紹介していきたいと思います。

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